■ 動脈管開存症(PDA) ■


 
       出生後の正常な心臓             動脈管が開存している心臓



どんな病気なの?   胎内では肺呼吸をしないので、心臓に戻ってきた血液は肺へ
                送られることなく直接大動脈へ流れるように“動脈管”という
                血管が存在します。
                通常この動脈管は生後数時間で血流がなくなり、数週間後には
                完全に閉鎖するのですが、閉鎖することなく残ってしまうと
                動脈管開存症(PDA)となります。
                この動脈管が閉鎖しないと、心臓から拍出された血液の一部が
                大動脈から開存した動脈管を通り、肺動脈に流れるために
                肺と心臓に負担がかかってしまいます。
  

原因は?         出生後に肺呼吸を始めると、胎内にいた頃よりも数倍高濃度の
                酸素が必要になります。動脈管は血液中の酸素濃度を敏感に
                感知するのですが、この感知機能が弱いと開存したままに
                なってしまうことがあります。
                多くの場合ハッキリとした原因は不明ですが、中には他の
                先天性心疾患の症状を抑えるために開存したままになってしまう
                場合もあります。


症状は?         動脈管を流れる血流の量によります。
                少量だと心雑音が聞こえる程度ですが、血流量が増えると
                チアノーゼになったり、呼吸や脈が早くなったり、手足の冷え
                体重増加不良などが起こります。
                また、心不全や細菌性心内膜炎(静脈内に侵入した菌が心臓の
                内膜に病巣を作り敗血症になる)予防のため、大きな怪我や
                歯科治療を受ける際には抗生物質を服用して予防します。


治療は?         自然に閉鎖することもあるので、通常は1年ほど経過観察します。
                1年以上経過観察していても閉鎖しない場合は、外科治療(手術)
                もしくはカテーテル治療を行います。
                動脈管は心臓の外側にあるため、外科治療においても左脇から
                アプローチして糸で縛ります。
                カテーテル治療は大腿静脈から先端にコイルをつけたカテーテルを
                動脈管まで挿入してコイルで血流をとめます。

                外科治療に比べて、体にかかる負担も小さく傷も小さく済むので
                コタもカテーテルで治療する予定ですが、まだ体が小さく血管も
                細く柔らかいので、もう少し治療しやすくなるまで経過観察中です。